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2020.09.17

はじまり

スケートボードに出会ったのは中学一年くらいの頃。ある日、兄が突然一台のスケートボードを持ち帰ってきた。ボードは当時僕が知っているバックトゥーザフューチャーという映画に出てきた空飛ぶスケートボードのそれとは違いタイヤが4つ付いているボードだった。一緒に持ち帰っていた雑誌にはボードに乗った彼らが街中の階段や手すりを爽快に滑っている様子が格好良く写真で切り取られていた。驚くのと同時に凄く格好いいと衝撃が走ったし、スケートボードをやってみたいと強く思った。それがきっかけとなり映像や写真にも興味を持つことになった。

それからすぐに友達を誘い、兄から譲り受けた古いボード一台を友達と貸し借りしながら朝から晩まで練習した。数ヶ月練習を繰り返したのちに、夏休みのバイト代を貯めて初めて自分のボードを買った。チョコレートというブランドのマイク・ヨークモデル。マイク・ヨークはボードを買う前から雑誌やビデオで何回も観ていてその当時僕が一番大好きなライダーだった。大きなTシャツに太めなジーンズ、ブルーのキャップ。僕もしっかり見た目を真似をしたほど崇拝していた。

そんなスケートボードと同じくらいその当時に好きになった物が、スケートボードマガジンとビデオだ。マガジンにお気に入りの写真があればハサミで丁寧に切り抜いて部屋中の壁に貼った。眠る前にも見れるようベット上の天井にも貼り、毎日それを見ながら眠った。ビデオはとにかく何回も何回も観た。何回観ても何故か飽きなかったし、テープが切れかけるほど観たせいで家のビデオデッキにテープを詰まらせて壊してしまうほどだった。そうなると今度はスケート仲間の家に行って、また同じように何回も何回も観た。今考えるととてつもなく迷惑をかけてしまったと猛省している‥。それくらい僕はスケートボードに夢中だったし、それを切り取った写真や映像にも夢中だった。

そんな日を繰り返しているうちに、自分がどんな写真が好きなのかある時気付いた事があった。格好良く撮られた表紙や、トリック(技)を披露している写真よりも、本の間に入ってくるインタビュー記事的な写真が好きだった。スケーター同士が喜び抱き合っていたり、撮影した映像を数人で確認していたり、休憩中にコーヒーを飲んでこちらを見てたり、スケーターのオフな部分、スケートボードを通しての見える彼らの背景のような写真。(舞台でいうならばバックヤードといったところだろう)そういった写真に心惹かれるようになっていたし、コーヒーを飲んでいる写真は特にお気に入りで部屋の一番良く見える所にずっと貼っていた。

この時に感じた好きは今も変わらず、「もの」そのものというよりは、出来上がるまでのストーリーや、背景、人となりが見える部分が写し出されている写真には相変わらず心惹かれる。大人となった今でもスケートボードは続けている。(おかげである時は鎖骨を折りそのときばかりは妻にこっ酷く叱られる始末だった)以前に比べて滑る時間は遥かに少なくなったが、スケートボードに乗ると当時の止まらないワクワクが蘇ってくる。ただ好きだから乗っているような、原点回帰したような、その両方だと思う。

先日も車を走らせていると、河川敷に角度の良いバンクを見つけた。ドロップインするには少々度胸を必要とする角度だ。いつでもそうやって目が行ってしまうある種の如何しようも無い「くせ」に今日もまた一人胸をおどらせている。時間ができたらあの時から交流のある二つ上の先輩を誘ってトライしてみよう。大人になった今でもスケートボードというものに、僕は完全に魅了されているのだ。

h.

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